最近は若年層や中高年層で猫背になっている人を多く見かけるようになりました。特に歩行中や電車の中でスマートフォンや携帯電話をいじっている姿です。
一時的に姿勢が悪くなっているだけならいいのですが、猫背には様々な害があります。猫背になる原因は背骨の骨折後の後遺症や内臓の病気など様々ですが、パソコンの長時間使用や、日常的な前かがみ姿勢の積み重ねによって生じることがほとんどです。
猫背はいったん癖がつくと脳に「猫背こそ普段の姿勢」と記憶されてしまいます。人間の体には「今の姿勢が正しい」と認識する働きがあって、常に猫背の姿勢をとっていれば、脳は猫背が正常な姿勢と勘違いしてしまいます。やがて猫背の悪い姿勢が定着します。
猫背の害は背骨だけに現れる訳ではありません。筋肉や血管までも衰えさせてしまう恐れがあります。
不自然な猫背の姿勢をとっていると、首や肩、肩甲骨まわりにある大小さまざまな筋肉が引き伸ばされたままになって緊張し硬直していきます。
猫背によって首、肩、肩甲骨まわりなどの筋肉が緊張して硬直すると、血管が圧迫されて血流が悪くなり、十分な酸素や栄養が筋肉に行きわたらなくなります。また筋肉にたまった老廃物の排出も滞ります。その結果、筋肉はうっ血した状態になって、首、肩、背中、腰などにコリが生じてきます。
首や背中とつながっている頭部の筋肉まで引っ張られると緊張型の頭痛を招くことがあります。
緊張型頭痛は猫背の方に多く見られます。
猫背による血流の悪化は「冷え」をもたらすこともあります。また筋肉の緊張や硬直が長く続くと関節を守っている筋肉も衰え筋力が低下していきます。すると関節にかかる負担が大きくなって、腰痛やひざ痛、四十肩、五十肩といった関節痛の原因にもなります。
猫背の人は肺や気管支、胃など内臓も常に圧迫されていることになります。その影響で呼吸が浅くなったり、胃もたれや逆流性食道炎を招いたりすることも少なくありません。
たかが猫背と甘く見ることは禁物です。見た目的なことだけでなく、健康のためにも猫背は直す必要があります。
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